足立美術館とその歩み

島根県には何度か足を運んでおりますが、今回初めて「足立美術館」を訪れました。                     松江から山陰本線で4駅、伝統芸能安来節が全国的に名を知られる安来市(やすぎ)にあります。                 安来駅からシャトルバスで20分程走ると、立派な建物と駐車場を埋めた車が眼前に現れ、確かな存在感を感じ取ることができました。 一言で形容するならば「名園と横山大観コレクション」                                    米国の日本庭園専門誌が国内1000か所の庭園を対象としたランキングで23年連続で日本一に選ばれている「名園」と、近代日本画の巨匠である横山大観の作品を約120点所蔵、質・量とも世界最高峰を誇っている「大観コレクション」         それらが見事に調和されています。                                                   創設者足立全康氏は1899年安来市古川町(現美術館所在地)の貧しい農家に生まれ、裸一貫から大阪の不動産王へ上り詰めました。苦労して育った故郷に成功を還元したい、島根県文化の発展に貢献したい、次世代を担う青少年に豊かな感性を養ってほしい、との動機で1970年に開館。                                             全康氏にとっての美術館はただの観光施設ではなく情操教育の場でもあったのです。創設を決意した瞬間の胸の内は、故郷に生きた絵を、絵心をプレゼントしよう、さんざん苦労して育った故郷で青少年のために役立つことをしたい、とのことでした。        大観が全盛期に描いた最高傑作で、足立美術館の至宝として、北沢オークションで大勝負のうえ競り落とした「紅葉」は、横幅が7.5メートルに及ぶ圧倒的なスケール、そして息をのむ鮮烈なもみじの赤に対し、下を流れる渓流は群青に輝き、赤と青のコントラストが美しさを放ち、これを鑑賞するために世界中から多くの観光客が訪れています。                                                  全康氏はこの絵を毎年本物の庭園が美しく色づく秋の特別展(9月~11月頃)に合わせて公開するよう遺しました。       それは「庭園の紅葉」と「絵画の紅葉」を同時に楽しんでもらうために…。                         その展示概要に触れたのは帰途に就いてからの事でした、しかしながら赤と青のコントラストは確かに眼に焼き付いてました。                                                       そう、それが「紅葉」であるとの知見がないまま鑑賞していたにもかかわらず。                            一年の内わずか三カ月しか展示しないのに、その期間に運よく訪問できた、それは、まさしく究極の一期一会の出会いとも言えるでしょう。                                                                      ※写真は白砂青松庭/はくさせいしょうてい                                       ※絵画の写真撮影はNG                                                伊藤清                                       

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