足立美術館と生の絵画

生(いき)の絵画とは。 足立美術館創設者、足立全康氏の「庭園もまた一幅の絵画である」という言葉に基づいて、広大な日本庭園を館内から本物の絵画として鑑賞するコンセプトや仕掛けのことです。 通常の絵画とは異なり、館内の窓枠や床の間、和室の開口部を額縁(フレーム)に見立てることで、その奥に広がる庭園風景を一枚の絵として切り取っています。 「生の額絵」は大窓を特大の額縁に見立て、「生の掛軸」は床の間の壁をくりぬき縦長の掛軸に見立て、「生の衝立」は和室の奥の開口部を通して庭を映し出し、それぞれ本物の絵画として堪能します。 キャンパスの絵とは異なり、風による木々の揺らぎ、光の移ろい、天候や四季によって一瞬一瞬その姿を変えます。 同じ場所から見ても二度と同じ風景に出会うことはできない…、いうなれば「一期一会」のアート。 足立美術館が大切にしている美意識の原点は、まさしくこの言葉にあるのでしょう。 日々過ぎていく一度きりの瞬間を慈しむその姿勢は、私たちが歩む人生そのものにも深く重なっているのかもしれません。 ※写真は生の衝立/いきのついたて 伊藤清
